会社の3年後、5年後、10年後、どうなっているか考えて動くことは会社が成長し続ける為には必要です。今所属している会社の未来に不安はありませんか?
そんな時、シナリオプランをたてることをお勧めします。
ここでは、戦略コンサルタントも活用するシナリオ・プランニングについて紹介していきます。
会社の数年後を見据えた動きをするためには、社会環境の変化を捉えて動く必要があります。
その例として、スマートフォンの市場が分かりやすいかと思います。
スマートフォンの投入によって、携帯電話業界だけではなくカメラ業界や地図の業界へも影響を及ぼしています。この様に、変化は色々な方向から想定していくことが必要です。
また、シナリオ・プランニングと聞くと経営企画に関わる人のみが必要な能力と捉われがちですが、商品の企画や開発をする上でも、市場の変化やそのスピード対応、組織としての正しい意思決定をするための理解が必要となります。
Contents
戦略コンサルも活用する!シナリオ・プランニングって何?
プレゼンテーションをする為?商品戦略を考える為?シナリオ・プランニングは、そのどちらも間違いではありませんが、「可能性のある複数の筋書きを想定して計画を立てる」ことが全体の目的となります。
少し細かく説明すると、シナリオは「可能性のある複数の筋書きを言葉にすること」であり、プランニング「ケースごとに道筋を選択できる計画に落とし込むこと」です。シナリオ・プランニングでは、材料調達ができなくなったら?などの不確実性の高い環境部分も含めて洗い出しておきますので、自社の姿を考える力が身につくのがシナリオ・プランニングです。
※ここでの「シナリオ」は「客観的に捉えるべき環境変化」と定義しています。
シナリオ・プランニングでは、マクロ経済、ミクロ経済での知識が重要になってきますので、「5つの力分析」「SWOT分析」「PEST分析」も必要になってきます。
シナリオ・プランニングのメリット
シナリオ・プランニングの最大のメリットは、「戦略的惰性」からの脱却を可能にすることです。
具体的には、3つメリットに分けることができますので、その点を紹介しておきます。
メリット① 経営陣や組織の環境変化に対する感度を上げる
シナリオ・プランニングを実施するには、環境変化を知ることが重要となります。必然的に環境変化に対するマインドが高まり、トレーニングに繋がります。
メリット② 組織の意思決定の質を高める
マクロ経済としての社会の環境変化、ミクロ経済としての自社や競合といった市場の動きを把握して今後の動きを提示できるため、意思決定に必要な情報が集まっています。
メリット③ 組織としての対応能力とスピードが高まる
シナリオでは、想定できるパターンを洗い出して進める為、緊急時の対応がスピーディーに行えるようになります。市場が早まった際や悪い方向に陥った際に備えることができます。
通常、シナリオ・プランニングは1人で行うものではなくチームで行うことがおおくなります。
シナリオ・プランニングに必要な分析について見ていきます。
環境分析
シナリオ分析に必要な行為として、環境分析があります。
環境分析に必要なフレームワークとして代表的なものに、「PEST」「5つの力」「3C分析」などがあります。これらのフレームワークを使って分析をしていきます。
PEST分析とは
PEST分析とは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の頭文字を取ったもので、社会環境の変化から自社がどの様な動きをするかというヒントを捉えていきます。このヒントとなる因子を捉えていくものとなります。ここにEnvironment(環境)を入れてみることもあります。
PEST分析では、業界に関係あることだけでなく、関係のないことまでを含めて幅広く把握し、その中から各項目での重要なマクロ因子を抜き出して想定される内容をまとめていきます。
PEST分析の詳細はコチラ
5つの力分析とは
5つの力とは、自社を取り巻く環境のことを把握するフレームワークで、「ファイブフォース」や「5F(ごえふ)」と呼ぶこともあります。5つの力分析の項目としては、「業界の競争(敵対関係の強さ)」を中心と置き、「新規参入の脅威」、「売り手の交渉力」、「買い手の交渉力」、「代替品の脅威」という5つの視点を見ていきます。
PEST分析とは異なり、「業界内の環境」に絞ってみていくのが、5つの力です。
5つの力では、業界内の過当競争に加え、業界の垣根がなくなる状況でどうするかを考えられるきっかけとなります。
5つの力分析はコチラ
シナリオ・プランニング コツ
シナリオ・プランニングをする上でのコツは3つあげられます。かたくなりすぎずに、以下のことを前提に進めると進めやすくなります。
① 正確な未来予測は不要
・予測ではなく、不確実性に着目する
・予想通りの未来になることはまずないことを前提におきつつ、自社の未来をどうコントロールできるかを考える
② 動き出している現実に着目
・未来は今進みだしている現実を起点として起こるものである
・着目すべき因子を見出すことからはじまる
・未来への予兆となるものは何かという視点で現実を俯瞰する
③ 表面的な情報に固執しない
・業界のバズワードには気を付ける
・抑えるべきはトレンドではなく、その背景にある前提条件で、その背景が因子のヒントとなる
大事なのは、ひとつの未来を特定するのではなく、変化の方向性のオプションを探る姿勢で取り組むことです。
重要因子の洗い出し
重要因子を出す際には、SWOT分析を使うことが多くあります。先ほどまでの5つの力とは異なり、より自社にとっての機会や脅威、そのどちらにもなり得る因子のヒントを見つけ出すことができるフレームワークとなります。
5つの力からも「機会」「機会/脅威の両方の性質」「脅威」になりそうなものを分類していきます。5つの力で客観的に見ておけると、ここでの分類がスムーズにできるようになります。
SWOT分析はコチラ
重要因子の評価とシナリオの定義
続いて、因子の評価をするプロセスとなります。SWOT分析で分析した因子を、「不確実性」の高低と「インパクト」の大小とに分けていきます。ここでは、以下のようなマトリクスを使うことでわかりやすく表現することができます。
ここでマトリクスを使う目的は、「関連性が高い因子をまとめられる」、「シナリオを作るための因子を絞り込める」の2点があげられます。
そして、このマトリクスを使用する際には、軸(言葉)の意味を定義する必要があります。
〇「インパクト」軸の定義
・マーケットの大幅拡大・誕生
・マーケットの大幅縮小・消滅
・マーケットのゲールルールチェンジ
〇「不確実性」軸の定義
・実現するかどうか不確実
・どのような形で実現するか不確実
・いつ実現するか不確実
因子項目の重要度の高い項目については、濃い色をつけています。
これらの因子から、シナリオを選定していきます。
まずは、ベース因子の中から、因子の最大公約した因子としてストーリーを組み立てます。
その後、検討対象となる重要因子から「自社に影響が大きい因子」をストーリーとして抜き出します。この際、最大公約しても2つ程度の因子までにしかまとめられないものがあると思いますので、こちらは無理にまとめず2つを抜き出しますが、その際、抜き出したシナリオB/Cの実現性を更に2軸で見つめてシナリオプランをつくっていきます。
ベースシナリオと含め、4つのシナリオが出来ます。シナリオは4つ必須というわけでも、4つで済むというわけでもありません。
シナリオ・プランニング 実践
シナリオ・プランニングは1人で実践するものではありません。チームで実践することは必要になります。では、どんなチームでシナリオを見ていく必要があるかをみていきます。
チーム組成に関するポイント
〇多様性
・複数の部署から、多種多様な視点を持ったメンバーの参加
・社外などの外部パートナーの巻き込み
〇実効性
・意思決定者の参加、または意思決定者からの支援
・角煮所の精鋭メンバーの参加、巻き込み
メーカーでの経験を通じて
シナリオ・プランニングを進め、経営まで合意されたものの、現場で混乱を招くことはあります。その失敗例について、紹介しておきます。年度末に近づくにつれ、中期経営計画を見直して翌年の商品計画をたてていますが、その戦略メンバーが重要です。企画・開発でシナリオ・プランニングを経て組んだ商品戦略も、いざ売ろう!と言った際に「そんなにたくさん売れないよ!」と営業部からの声が出てくることがあります。この原因は大きく2つありました。
1つは、シナリオ・プランニングに営業部を巻き込めていない点。2つ目に経営からのトップダウンが営業部に降りていなかったことです。この2点は、この章をご覧いただいた皆さんにとっては当然だと思われるかと思いますが、いざ、おこなってみると、このような落とし穴が潜んでいることがあります。特に縦割りの組織の場合に発生しやすくなりますので、シナリオ、戦略をつくるという行為だけでなく、そのプロセスやコンセンサスをとって進めていきましょう!
まとめ
シナリオ・プランニングの役割とそのフレームワークやプロセスについて見てきましたが、最も大切なのは、そのシナリオを選んだ意思(想い)です。想いを伝播するには、シナリオ・プランニングから関係者を巻き込むことが重要となります。
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