皆さん、Win-win(ウィン、ウィン)という言葉は良く聞くのではないでしょうか?
言葉は知っていたり、意味は分かっていても、この思考を活用できていない人を良く見かけます。交渉や仕事を円滑に進めていくためには必ず必要な思考です。Win-winとは何なのか?そのコツは?ということを説明していきたいと思います。
Contents
Win-win(ウィンウィン)の関係とは?
Win-winとは、
言葉で表現すると、「交渉者が共に利得を享受できること」となります。
一方は満足しているけど、片方は不満が残ってしまう場合はWin-Loseになり
また両者にとって話が思い通りにならかった場合は、Lose-Loseの関係になります。
このどちらでもなく、両者が納得して得をするという状態がWin-winです。では、双方が利を得てWin-winの状態をつくるにはどうすればよいのでしょうか?
Win-winの状態をつくるためには①
Win-winと聞くと勝つことだけに意識がいってしまいますが「勝ち負け」ではなく、「問題解決のための共同作業」であるという認識をしましょう。
Win-winをつくるために最初に必要なことは、相手の話に耳を傾け、誠実に向き合うことが必要です。自分の要望だけを伝えるのではなく、相手側の要望は何かを知ることが必要です。そのためには、相手との信頼関係の構築がまず重要です。相手が考えていること、望んでいることを聞き出すことは非常に難しいことです。信頼関係を構築した上で、話し合いを進めましょう。
Win-winの状態をつくるためには②
お互いが何に価値をおいているかを洗い出して、その違いを見出して価値を交換していくことが必要です。
何が譲れないことなのか、何であれば譲ることができるのかそれぞれに優先順位があります。その優先順位を明らかにしながら、お互いそれぞれが譲れないことは守りながら、譲ることができる内容で価値を交換しあうことが必要です。お互いが譲れないことがかぶってしまった場合がとても難しくあとは交渉になります。
Win-win の事例
ここでは価値の交換の例を示していきたいと思います。
●名誉⇔実利
例えば誰かと共著を書いた場合、一方は著者として名前を出して知名度を上げたい、もう一方は名前が売れるより印税収入のほうが大事などの場合です。
●短期⇔長期
例えばサンプリメントなどにおいて、単品で今月分だけ変えるが価格は定価という場合と、継続して購買契約してくれると30%OFFで買い続けられる、といった場合です。
●経済的側面⇔政治的側面
例えば株式取得の交渉の場面などで、一方は経済的なリターンが最大になる株式契約をしたいと考え、もう一方はガバナンスが効く議決権・拒否権付きの株式契約をしたいという場合です。
以上のような価値の交換の例があります。
Win-win のコツ
●交渉では知らず知らずの思い込みをすることがあるので注意する
当たり前のことなのですが、相手の置かれた状況は自分とは違うということを理解しましょう。相手が自分と同じように考えるとは限らないのに、絶対にそうだ!と思い込んでしまうことがあります。
●交渉の論点はたくさんあり、かつ複雑であることも理解しておく
論点がこれこれと明確になると、それだけだと思い込んでしまいそのことだけを考えがちになります。実際には、その他にも論点はたくさんあり複雑に絡み合っていたりします。その論点を洗い出して整理することが、Win-winになるためには重要です。
●Win-winの関係者は複数存在することに注意する
交渉相手の先にはさらにその人が意見をもらったり、交渉の決定権をもつような人(関係者)が存在していたりします。このように、その先の関係者まで含めて幸せになることがWin-winにおいて重要です。自分と交渉相手だけを見るのではなく、その先まで広い視点で見るようにしましょう。そしてその先の人までもがWin-winになることを意識することが重要です。
メーカーでの経験を通じて
これはメーカーだけがというわけではありませんが、日々の仕事は交渉の連続です。自分がやりたいように進められればこれほど楽なことはありません。自分がやりたいことは、相手にとっては不利益を被ることだったりします。Win-winの考え方は社内においても社外においても役立ちます。
社内の話の例では、開発部門としてはこの設計を実現するためにはこのくらいのコストになってしまう、だから500円の上代で販売したい。マーケティング部門からすると、ユーザーや競合の観点からそれより安い400円の上代で販売したい。といった事例は日々発生します。そこで開発部門とマーケティング部門それぞれで譲れない点、譲れる点を明確にして比較しながら譲歩しあう策を見つける必要があります。
社外との交渉においては、たとえば納期の交渉です。1万個を納品しようとするとリードタイムが1か月かかってしまうけど、どうしても2週間後に欲しいというようなシーンです。この時もどこまで譲歩できるのか条件を出し合って、最終的には2週間後には5千個を納品してもらって、1か月後に残りの5千個を納品することで決まった、というようなことです。このように社内でも社外でも仕事を進める上で、このWin-winの考え方はとても大切になります。
まとめ
Win-winという考え方は、当たり前のこととして受け止められやすいですが、メーカーで勤めているとそれを理解していない人が多くいるように感じます。特に開発者は下請け会社との仕事が多いです。交渉力はこちらのほうが持っていることが多く、どうしても優位に事を進めようと少し乱暴になったりします。
何が本当にWin-winなのかを考えて仕事を進められる開発マンは意外に少なかったりします。交渉力をもっているからと無理強いばかりしていると、後々破綻してしまうようなシーンを何度か目の当たりにしたことがあります。その場はしのげても、それはボディーブローのように蓄積していつかは爆発して自分自身にマイナスとなって返ってきたりします。そうならないためにもWin-winということを意識して日々の仕事で交渉をしていくことがとても大切です。
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