思考

合理的な意思決定のための「囚人のジレンマ」とは?

皆さん、「囚人のジレンマ」という言葉を聞いたことがありますか?

あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、ゲーム理論の中では最も有名な構造のものです。理解を深め、合理的な意思決定ができるようにしましょう。

 

「囚人のジレンマ」とは何か?

囚人のジレンマとは、
「個々が望ましいと思って合理的な選択をした結果、全体にとっては望ましくない結果になってしまうこと」を言います。

例えば、囚人Aさんと囚人Bさんがいるとします。
監守から以下のように言われます。

・「お前だけが自白すれば無罪にしてやる。しかし、相棒は懲役10年になるぞ。」
・「そして、互いに黙秘しあうなら懲役3年。逆にお互い自白しあうなら懲役は5年だ。」

下図のような状況です。

このような状況のとき、囚人は次のように考えます。

・お互いに黙秘すれば懲役3年・・・。でも、自白したら無罪になれるかも。
・いや、Aだって同じことを考えているはず・・・。そうしたら5年。
・でも、Aだけに自白されたら10年・・・。それはまずいぞ。
・自分もとりあえずは自白しておくべきか・・・。

このように全体を見れば、黙秘のほうが良いと分かるのに、相手の裏切りや個人の利益を考えるとその選択肢を選ぶことが難しくなる、この状態を「囚人のジレンマ」と言います。

囚人のジレンマは、お互いにコミュニケーションが取れる場合でも発生します。例えば囚人の場合、事前にコミュニケーションが取れて裏で黙秘の約束ができていたとしても、結局は疑心暗鬼になって自白してしまうといったケースです。

 

「囚人のジレンマ」の事例

例えば、仕事で大きなミスを起こしてしまったAさんとBさんがいるとします。お互い非があるものの様々な状況が複雑に絡み合っており、場合によっては責任逃れすることもできるような状態です。かつ、近々昇格する予定があるという2人でした。下図を参照してください。

そのような中、責任を負うか負わないか2つの選択肢があります。

例えば、お互いが責任を負わなければ責任所在不明確により、2人とも昇格が見送りになります。しかし、自分だけが責任を追えば問題に真摯にむきあったということで、自分だけが昇格になり相手は降格します。そして、お互いに責任を負えば責任を折半したということで2人とも減給となります。

さて、あなたならどうしますか?

これは、極端な話と思うかもしれませんが、AさんやBさんの立場になった場合、自分が昇格できるのであれば、、、という心理が働くこともあるのではないでしょうか。

このように個人の利益を考えると、すぐに決断ができないということは日常にあるものです。

 

「囚人のジレンマ」により不利益な状況をふせぐためには

●相手の状況を伺ったり、よくコミュニケーションを取ること

相手の状況や心理状態を読むことで、相手の出方を予測することが可能となります。入札の際の談合など禁止されていることもありますが、常識的な範囲での話し合いはお互いが不利益な状況に陥ってしまうことを防ぐ策になります。

●お互いが裏切らないようなルールを設ける

裏切りに罰則があれば、安易な裏切りの抑止につながることがあります。

 

「囚人のジレンマ」に対するコツ

●囚人のジレンマの意思決定は、1回か複数回かで変わる

意思決定が複数回で長期にわたる場合、協力し合おうという心理がより働きます。

●相手を信頼しお互いの利益を考慮する意識を持つことが重要

信頼があれば、相手もお互いの利益を考慮した意思決定をしてくれることにつながります。

つまり、自分の目先の利益を優先しようとすると逆に不利益を被ることになります。

 

しかし、残念なことに世の中には様々な人間関係、欲があります。信頼を築こうとせず、自分の利益に走り全体が不利益になることがあります。だからこそ、囚人のジレンマの概念を理解して長期的・信頼という視点で、自分が最も利益が出る選択肢でなくてもお互いにとって良い意思決定をするという心がけが重要です。

囚人のジレンマを理解し、囚人のジレンマに陥ってしまった場合は、より良い結果になるよう慎重に意思決定することが必要です。

 

メーカーでの経験を通じて

メーカーでの経験を通じて、この考えが必要なケースはパートナーとの意思決定に良く用います。プロモーションを一緒にやってくれるパートナー、または商品を一緒に共同開発するパートナー、または材料供給や製品を生産してくれるパートナー、海外の商品を日本国内で独占販売する権利をくれるパートナーなど、メーカーでのモノづくりの過程では多くのパートナーの存在があります。そのパートナーとより良いモノづくりを進めていく中で、この囚人のジレンマということを理解する必要があります。

パートナーとは交渉事が多くなります。自分たちだけの利益ではなく、相手の利益も考えWin-Winにならなければ、長期的に見たときにビジネスがうまく進まなくなってしまいます。常にこの囚人のジレンマという考えを前提としておきながら、自社の利益拡大のみを考えすぎず、長期的に両社が利益を得られる意思決定を心掛けること、そのためには良好な信頼関係と良好なコミュニケーションが必要です。

 

まとめ

「囚人のジレンマ」という言葉や、「今囚人のジレンマに陥っているぞ!」というやりとりのシーンが決してあるわけではありません。しかし、上記事例でお話したような4象限のマトリクスで現状整理をして意思決定をするということは良くあります。

その際には、この囚人のジレンマということをきちんと理解し、自社の利益のみに走らないようにしなくてはいけません。相手がどのような状況なのかを把握する、そのためにはコミュニケーションを取って信頼関係を構築しておきましょう。ビジネスは自社のみで回せていることはわずかです。多くのパートナーがあってのビジネスであることがほとんどです。正しい意思決定のためにも、考え方を理解しておきましょう。

 

 

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