戦略・マーケティング

イノベーションのジレンマとは?事例から対策までを解説

こんなシーンはありませんか?

メーカーで商品企画をしているとき、自社にとって主力商品のカテゴリーにおいて最近海外メーカーの格安商品が出回ってきた。

得意先の声を聞くと、安かろう・悪かろうで品質レベルは低いので話にならない。やっぱり日本製だなと、、、この話、本当にこれで大丈夫でしょうか?

 

「イノベーションのジレンマ」とは何か?

先ほどのようなシーンのときに、もしかすると「イノベーションのジレンマのワナに陥る可能性はないか?」と考えることが必要です。

具体的には、その海外メーカーはまず要求度の低い顧客に受け入れられながら徐々に改良や進化を重ねていき、いずれ要求度の高い顧客にも受け入れられるようになるかもしれない。と考えることです。

イノベーションのジレンマとは何か?それは、既存プレーヤーが破壊的イノベージョンをもつ新興プレーヤーを前に力を失うメカニズムを説明した経営理論です。

 

イノベーションのジレンマの事例

デジカメとスマホの事例で説明します。

デジカメは、発売当時はフィルムがいらない画期的商品でした。メーカーは楽に持ち運べ、キレイな写真が撮りたいというニーズにこたえるべくサイズや画質の技術開発を進めました。

一方、90年代後半にカメラ機能付きの携帯電話が発売されました。初期は画質が悪く、少し写真が撮れる付随機能でした。しかし、徐々にその性能を進化・改善させ、デジカメユーザーも満足するスマホが生まれました。このスマホの登場により、高性能でコンパクトなデジカメを持つ顧客は減少し売上が低下しました。

このメカニズムをイノベーションのジレンマのキーワードで表現すると、デジカメメーカーや携帯電話メーカーが「改良・改善の積み重ねによる製品の性能向上」を持続的イノベーションと言い、デジタルカメラにとってのスマホを破壊的イノベーションと言います。

イノベーションのジレンマは、持続的イノベーションに注力する既存プレーヤーが破壊的イノベーションを持つ新興プレーヤーの出現により素早く対応することができず、結果として市場シェアを失ってしまう構造のことを言います。

それでは、なぜイノベーションのジレンマが起きるのかその理由について簡単に説明します。それは、2点あります。

1点目は、既存プレーヤーにとって新市場に対する投資の合理性が低いということです。カメラ付き携帯電話が導入された時点では市場規模が小さく、大企業であるほど新市場に対する投資の合理性が低くなります。

2点目は、破壊的イノベーションが起こる新市場のニーズは、既存プレーヤーが相手にしている主要顧客のニーズと異なることです。デジカメの既存プレーヤーはコンパクトで手軽に高品質の写真が撮りたいというニーズを満たすために技術開発をして、持続的イノベーションに邁進します。一方カメラ付き携帯電話市場は、電話をかけるというのが主なニーズでカメラは付随機能です。既存デジカメ顧客のニーズとは異なります。しかし、時間の経過と共にデジカメの技術開発はいきつくところまでいきつき、差が分からないレベルに達します。一方スマホは、デジカメの顧客のニーズを満たすカメラ機能を持ち、デジカメ顧客がスマホのカメラ機能を使うという結果になります。

この2点の理由により、イノベーションのジレンマが起きるということです。

 

イノベーションのジレンマに陥らないためのコツ

戦略を検討する際には上記のことを理解して、自社にとって破壊的イノベーションになりえる製品・サービスとは何か、逆に自社が開発する製品・サービスで破壊的イノベーションとなりえる機会はないかを考えることが重要です。

また、以下の2点については知っておくと良いと思います。

① 持続的イノベーションが漸進的・連続的とは限らない
「持続的」という言葉のニュアンスから、漸進的・連続的なイノベーションをイメージしがちです。持続的イノベーションは、性能を改良する特性を持つものをさしているので、技術的には革新的・断続的なイノベーションもあります。

② 破壊的イノベーションは革新的・断続的とは限らない
破壊的と聞くと、いかにも革新的・非連続的イノベーションを想像しがちです。しかし、技術的にはシンプルであることが多いです。

自社にとって、「持続的」とは何か?「破壊的」とは何か?を把握しておくことが重要です。

 

メーカーでの経験を通じて

メーカーに勤めて企画開発をしていると、大半の仕事は「持続的イノベーション」になります。自身の担当カテゴリー商品において、市場シェア(利益)向上が目的のため、改善・改良を重ねて顧客ニーズにこたえていくことがメインの業務です。

そのとき、他社や海外メーカーから品質は悪いけど価値軸をずらしたようなもの、または圧倒的に安いものが出てきたときにどう対処するかというシーンはいくつか経験しました。ベンチマークをしてキャッチアップする対応をすることもあれば、見過ごすこともありました。全てが成功したわけではありません。見過ごしたそのものが一定のマーケットを形成してしまったという苦い経験もあります。

また、逆に新規事業系では破壊的イノベーションを自ら起こすというアプローチも経験をしています。レッドオーシャンでの戦いは避け、ブルーオーシャンを見つけて市場を形成していくときにこの考えが活きました。

感覚的にはメーカーでの業務の8~9割は「持続的イノベーション」です。正直、企業規模が大きくなればなるほど「破壊的イノベーション」へのリソース投下は少なく、1~2割というかんじです。

両アプローチを経験しましたが、上記のコツでも述べたように、3C状況を良く見て他社のアプローチが破壊的イノベーションになり得るかを常にウォッチすること、またこれは経営戦略にもなりますが破壊的イノベーションを自ら起こすリソース投下を、バランス良く実行しておくことがメーカーにとって良いのではと考えています。

 

まとめ

イノベーションのジレンマという言葉自体は、メーカーに勤めていると良く聞く言葉です。しかし、良く聞く言葉なだけに変な誤解があるというのも正直なところです。上記内容をしっかりと理解しながら、自身の業務と照らし合わせ持続的イノベーションかつ破壊的イノベーションを捉えていってもらえればと思います。

 

 

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